世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

2020-01-01から1年間の記事一覧

[コロナ感染第3波・重大局面]歴史の1ページを記録しておきます(2020年末➡2021年初め[追記1/3])

※もっと明るい話題について書きたいところですが、やむを得ません。私が書かなくともいいのですが、歴史の1ページですので、本ブログとしても一応記録しておきます(2021年1月1日のデータまで更新します)。 ★イギリスで新型コロナウイルスの変異種による…

🌼植物から見る歴史<その1> 花の栽培・デザイン化・バラ

<野の花とイエス> ◆野の花について述べたイエスの言葉が残されています。「ソロモンの栄華」と野の花を比べた、有名な一節です。 「野の花がどのように育つのか、よく学びなさい。働きもせず、紡ぎもしない。」(「マタイによる福音書」6章) ◆引用した一…

★「正解を求めず耐える力」が必要?【 津田大介の論壇時評の危うさ 】

◆2020年12月の論壇時評(朝日新聞)で津田大介は、「ネガティブ・ケイパビリティ」について書いていました。「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、「容易に答えの出ない事態に耐えうる能力」のことだそうです。この能力の必要性を、「寛容」につなげながら、…

▼軽く扱われた「医療緊急事態宣言」【新聞の弱まる報道力、人びとに広がる不信・諦め】

◆今年の春頃、「ロックダウンをしなくても自粛する日本人はすばらしい」というような論調がありました。しかし、今はどうでしょうか? 自粛要請に応じない人が増えてしまったと思います。北海道や大阪を除いて、市街地への人出は減少しないという状態が続い…

★仏教のふしぎ・その2<大乗仏教・密教>

☆その1<初期仏教>の続きになります。 ☆読んだ文献は限られていますので、私の関心のある内容をメモしたという程度のものです。メモの観点は、おもに次の3つです。 ① 素人の素朴な疑問から考える。 ② 歴史の中で考える。 ③ 他の宗教や思想と比較してみる…

▼【感染拡大危機なのに首相会食】みんな懸命に生きています、でも政治は劣化…

◆12月28日からGo Toトラベルは全国で一時停止ということですが、年末までに感染拡大が収まる要素は見当たりません。これからは、1日の全国の新規感染者数が3,000人を超えるのが普通になっていくのではないでしょうか。まもなく、全国の累積の感染…

<新型コロナ感染急拡大>危機です(2週間前の数字と比べてみました)、政府は的確な判断を!【追記あり】

※最終更新 12/14 ※パンデミックという世界史的な出来事の渦中を私たちは生きていますので、本ブログでも取り上げています。現在を直視せずに過去の歴史を学ぶことはできません。 ◆新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。何人かの方が言っていた…

【国際比較】日本は看護師も医師も不足![とうとう自衛隊に看護師派遣要請(2020/12/7)]

※パンデミックという世界史的な出来事の渦中を私たちは生きていますので、本ブログでも取り上げています。 ◆新型コロナウイルスの感染拡大は、きわめて深刻な状況です。とうとう大阪府と北海道が自衛隊に看護師の派遣を要請する事態に至りました。 ◆この1週…

【資料】独仏戦争(1870~71)後変化した、フランスの音楽・美術

◆第二次世界大戦後の日本に見られるように、戦争は敗北した国に大きな変化をもたらすことが多いものです。日本の場合は残念ながらかなり他律的な変化でしたが、独仏戦争(プロイセン=フランス戦争)後のフランスは、第三共和政を確立すべく、自分たちの力で…

★仏教のふしぎ・その1<初期仏教>

※最終更新 2020/11/30 (21:00) ☆「仏教って不思議だな」と思うことが時々あります。その不思議さをベースに、仏教について書いてみます。 ☆ただ、読んだ文献も限られていますので、私の関心がある内容をメモしたという程度のものです。メモの観点は、おもに…

★18世紀フランスの宗教と社会(ナントの王令廃止後、ユグノーは)

◆ルイ14世のフォンテーヌブロー王令(1685)により、ナントの王令(1598)は撤回されました。この措置は、アンリ4世の暗殺(1610)後のカトリックとユグノーの対立に終止符を打ち、ユグノーをフランス国内から一掃しようとするものでした。 ◆高校の世界史教…

★あるアラム語が2年前の新訳で『新約聖書』から消されたという問題

◆「31年ぶり、0から翻訳」と銘打たれた『聖書』(聖書協会共同訳)が出版されたのは2年前(2018年11月)でした。その翻訳の一部については、拙文(「世界史の扉をあけると」)ですでに述べていますが、今回は、旧訳(新共同訳)にあったアラム語が新訳では…

☆ユーラシアの歴史の中の<阿修羅>☆

◆興福寺の阿修羅像は、多くの人びとを惹きつけてきました。8世紀(奈良時代)の彫刻ですが、まるで生きているようにさえ見えます。阿修羅像の何が私たちを惹きつけるのでしょうか? 阿修羅像は何を祈っているのでしょうか? ◆仏教の守護神としての<阿修羅…

▼新型コロナ感染、欧米危機、日本も(11/12)

★ヨーロッパやアメリカは感染爆発と言ってもいいような、危機的状況です。 ★アメリカでは、きのう(11/11)、1日の新規感染者がなんと14万人でした(累計では1040万人を超え、死者は24万人を超えています)。もしかしたら、大統領選投票日(11/3)…

★米大統領選の最終結果を気にしながら、投票のしくみをあれこれ考えました

◆日常的に非難や中傷が溢れるネット社会。そういうネット社会を最大限に利用した政治を、トランプは4年間行ってきたのだと思います。その延長上に、今回の大統領選挙もありました。 ◆そう考えると、トランプが獲得した7100万票を、単純に「すごい」とは言え…

★<バイデン/ハリス>の勝利のスピーチを聞いて思いました

◆私たちは、いま、2020年アメリカ大統領選挙という歴史の1ページを見ています。 ◆ようやく<バイデン/ハリス>のヴィクトリー・スピーチがなされました。バイデンがとても尊敬すべき人物であること、それがよくわかりました。 ★スピーチの中で、バイデンは…

★米大統領選の混乱と思想家コンスタンの言葉

※最終更新 2020.11.6 ◆11月3日に投票が行われたアメリカ大統領選挙の結果は、まだ判明していません。バイデンが勝利に近づいているように見えますが、トランプはあらゆる手段でバイデンの当選を阻もうとしています。複数の州で訴訟を起こしていますので、決…

★「歴史総合」:「深い学び」は困難でしょう

※最終更新 11/4 【新課程の「地理歴史」と共通テスト】 ◆2024年度からの大学入学共通テストの科目が検討されています。注目していた「歴史総合」は、「日本史探究」、「世界史探究」と組み合わせて、出題科目となる方向のようです。 ◆2022年度から実施の「歴…

★道教のふしぎ ③(神塚淑子『道教思想10講』について)

◆神塚淑子『道教思想10講』(岩波新書、2020)については①・②でも触れてきました。入門書に近いものと思いながら手に取りましたが、とんでもありませんでした。概説書ではありますが、広く深い内容を含んでおり、たくさんのことを学ばせていただきました。 ◆…

アメリカ大統領選挙:民主主義の崩壊過程を見ているのでしょうか? それとも…

◆次のようなことから、「アメリカの民主主義の崩壊過程を見てるんだな」と思ったりしてきました。 ① 前時代的な「州ごとの選挙人総どり方式」を改めようとしない。 ② トランプのでたらめな演説に、支持者が熱狂している。 ③ 第1回TV討論が討論になっていな…

★道教のふしぎ ②【[資料:道教と仏教・儒教]そして現代中国】

☆捉えがたい道教をなんとか理解しようとしていますが、自分の力量ではなかなかまとめられません。そこで、今回は2種類の資料を載せながら、若干の感想を述べたいと思います。 ★大きく見ると【神塚淑子『道教思想10講』(岩波新書、2020)より】 「研究者の…

★17世紀フランスで見落とせない3つのこと(アルザス、ラ・ロシェル、カリブ海)

★一般的な17世紀フランス史に、アルザス地方の併合、ラ・ロシェルの弾圧、カリブ海地域への進出を加えることで、フランスの歴史がより立体的に見えてくると思います。 【アルザス地方の併合】 ◆アルザス地方は、三十年戦争後のウェストファリア条約(1648)…

[学術会議問題メモ]少ないよネ10億円 政党助成金は? アベノマスクは?

◆日本学術会議の会員任命拒否問題はどうなっていくのでしょう? ◆菅首相(まだ所信表明演説もしていないのですが、先に外国訪問をするそうです)は、「年間10億円以上の予算を税金から計上しているのだから、推薦通りの任命などあり得ない」と言っています。…

★道教のふしぎ ①(江南に触れない教科書)

◆中国の三つの宗教(儒教、仏教、道教)のうち、最も捉えがたいのは道教でしょう。しかし、現在の中国・台湾で人びとに最も信仰されているのは道教のようです。 ◆高校の世界史の教科書記述から道教を理解するのは、困難な状態です。第一学習社の「倫理」では…

▼デモクラシーを考える(中国化の誘惑? 日本学術会議の問題)

★いま世界中で、デモクラシーがあらためて問われているように思います。デモクラシーという語は、古代ギリシアの<デモクラチア>から来ています。デモクラチアは、もともと<デーモス(民衆)のクラチア(力)>の意味でした。 ★<デーモス(民衆)のクラチ…

★アメリカのデモクラシーの衰弱【追記:トランプ感染】

<テレビ討論の無残> ◆日本時間の本日(2020.9.30)、大統領候補2人の第1回テレビ討論が行われました。討論の最初からトランプがバイデンの話を遮り、司会者の注意にもかかわらず、それがずっと繰り返されました。世界中の人々がトランプの言動に慣れてし…

★独仏戦争(1870~71)後の「単一の共和国」と「単一の帝国」

●今までは普仏戦争(プロイセン=フランス戦争)と呼ばれてきましたが、プロイセンに南ドイツ諸邦も合流した戦争でした。したがって、ドイツ全体とフランスの戦争だったというとらえ方が出てきていますので、独仏戦争という名称を使いました(*1)。 <フ…

▼[やや長いメモ]平成~令和という時代は…(追記:津田大介、川上未映子の文章に触れて)

※ 最終更新:9/26 ☆「<世界史の扉をあけると>なのに、どうして今の出来事について書いているのか」という疑問を持たれる方もいるかも知れません。 ☆過去の出来事をいろいろ調べ、考えることは楽しいものです。ただ、私の場合、過去の歴史の好事家では…

[コロナ禍のメモ]慣れてしまった? 感染者も死者も増えているのに(9/15現在)

◆日本の新型コロナの感染状況は、落ち着いてきたのでしょうか? 死者も感染者も確実に増えてきたのですが。( )内は感染者数。 7/10時点の死者数 982人 (21,262人) 8/10時点の死者数 1,055人 (49,820人) 9/15現在の死…

★魏晋南北朝期の魅力

◆日本では、後漢滅亡後の三国時代が人気ですが、これは明の時代に書かれた歴史小説『三国志演義』の面白さによるものです。 ◆歴史として考えた場合、魏晋南北朝期ほど面白い時代はありません。漢帝国の解体から新たな中華(隋唐)に向かう流動が、約370年も…