2022-01-01から1年間の記事一覧
◆浜島書店の資料集「新詳歴史総合」は、世界と日本の近現代史のほぼすべてを網羅していますので、授業では使いやすいのではないかと思います。 ◆ただ、従来の世界史・日本史などの資料の寄せ集めという印象はぬぐえません。誤りに近い部分や不足の部分もあり…
★「大航海時代」以降グローバリゼーションが進む中、ヨーロッパ人は飽くなき好奇心で、世界中の植物を収集しました(17世紀以降世界中に散らばった収集家たちはプラント・ハンターと呼ばれました)。サトウキビやトウモロコシ、ジャガイモなどに代表されるよ…
▼私は柄谷行人の著書の良き読者ではありません。『日本近代文学の起源』はすばらしい本でしたが、『哲学の起源』には幻滅しました。(『哲学の起源』のやや長い書評は「世界史の扉をあけると」に書きました。) ▼『世界史の構造』は読んでいませんが、「交換…
◆帝国書院の「明解歴史総合図説シンフォニア」は、文字や図版が大きく、わかりやすい内容になっています。 ◆しかし、急いで編集したのか、いくつか残念な点がありました。 ①巻頭の「地域の基礎知識」は学習に役立つと思います。ただ、東アジアに中央ユーラシ…
◆第一学習社の「新歴史総合」を、カルチャーセンターの講座のテキストにしようと考えてきました。グージュ以降のフェミニズムの歴史に触れていない教科書や慰安婦を取り上げていない教科書は、テキストの候補から外しました。東京書籍の「新選歴史総合」も考…
◆数年前から、朝日新聞紙上に載る吉田純子の文章を愛読してきました。クラシックの指揮者や演奏家の追悼文、コンサートや音楽コンクールの評などが素晴らしかったからです。吉田は編集委員になり、最近は音楽以外の分野についても書くようになっているようで…
◆高校1年生で履修する新科目「歴史総合」の授業が始まって、半年になろうとしています。私自身は高校の現場を離れていますので詳しくはわかりませんが、各高校では試行錯誤が続いているようです。 ◆従来型の歴史教科書に一番近い山川の「歴史総合」を使用し…
▼今日は、外山義という方のことばが紹介されていました。高齢者施設に関する著書の一節だったようです。 「サービスが提供されても……与えあう関係をふたたび手に入れることができなければ、その人は、花瓶に生けられた切り花である。」 ▼小さな庭で咲いてい…
★朝日新聞の朝刊を手に取ると、自然に鷲田清一の「折々のことば」に目が向いてしまいます。ハッとさせられることばにも、たくさん出会いました。 ★ただ、戸惑いもあります。その理由を、大きく3点述べてみます。 <短いことば・短い論評> さまざまの著作や…
★今回取り上げるのは、第一学習社の「新歴史総合」[歴総711]です。(より詳しい記述の[歴総710]もありますが、未読です。) <すぐれている点をいくつかあげてみます> ◆巻頭で、中学校で学んだ歴史の流れを17世紀まで確認できるようになっている。 ◆時…
■慰安婦は、戦時下における、女性の人権の問題です。東京書籍の2冊の教科書(「詳解歴史総合」[歴総702]、「新選歴史総合」[歴総701])は、正面から取り上げています。 ■「詳解歴史総合」には、次のような記述があります。 ●132ページ(日中戦争) 「戦…
▼今回は、実教出版の「詳述歴史総合」(歴総703)と「歴史総合」(歴総704)を取り上げます。2冊とも、やや先鋭な記述(賛否があると思います)の見られる教科書ですが、「詳述歴史総合」は慰安婦についてまったく触れていません。 ▼「詳述歴史総合」は、「…
◆慰安婦問題は、戦時下における、女性の人権の問題です。したがって、現代史では避けることができないと思います。 ◆山川出版社の「歴史総合」(歴総707)は、日中戦争から太平洋戦争にかけての記述にあたって、南京事件や「強権的な動員・徴用」、皇民化政…
■1867年のパリ万博を契機に大きなうねりとなったジャポニスムは、「歴史総合」という科目にふさわしいテーマでしょう。3社だけですが、教科書での取り上げ方を簡潔に比較してみます。 ◆山川の2冊の教科書(「歴史総合」と「現代の歴史総合」)は、本文では…
◆山川の「現代の歴史総合」(歴総708)は、史料が豊富で、意欲的な教科書です。ただ、残念ながら「歴史総合」は2単位です。実際の授業ですべての史料を取り上げることは不可能だと思います。 ◆「現代の歴史総合」の独自性はたくさんあると思いますが、私が…
◆1で述べたように、東書の「詳解歴史総合」(歴史総合702)は、太字の語句・人名をやめたという点で画期的な歴史教科書です。歴史学習が結局は重要語句暗記になってしまうことを避けたかったのだと思います。高度な内容も多いですが、本文や特集ページを「…
【参議院議員選挙の結果について】 ▼自民党の大勝は、ほぼ各種メディアの予想通りでした。 ▼自民党への熱い支持というわけではなかったかも知れません。日本の社会全体に不安感や「薄幸感」がじわじわと広がっている中で、「自民党に託すしかない」という考…
※最終更新 2022/7/10 23:08 ▼朝日新聞の編集委員・高橋純子の文章は、「独特な口語体」です。あえてそういう書き方をして個性を出しているのでしょうが、「論を奏でる」ところまではいっていません。 ▼数年前に高橋純子は、当時の安倍首相の悪口をこれでもか…
◆「歴史総合」は、世界と日本の総合的な近現代史です。フェミニズム(女性解放をめざす思想・運動、女性差別の克服をめざす思想・運動)について取り上げないということは考えられません。[*1] [*1]フェミニズムという語は、ほぼ次のような意味で使…
◆新聞(朝日、2022/6/26)に載っていたブレイディみかこさんの素敵な写真を見て、驚きました。以前の写真の印象とはかなり違っていたからです。写真だけからの感想ですが、多分彼女は、普通の生活者とは異なる経済的ゆとりを手に入れたのでしょう。あれだけ…
◆「歴史総合」の中で明治憲法(大日本帝国憲法)体制をどう評価するかは、たいへん重要だと思っています。日本の近代化の評価に直接関わっているからです。 ◆山川の「歴史総合」は、「立憲体制の成立」という項目で、大日本帝国憲法制定までの経過やその特徴…
◆実教の2冊の教科書(「詳述歴史総合」、「歴史総合」)はすぐれていると思います。特に「歴史を学ぶための基礎知識」のページや「さくいん」を人物と事項に分けていること(「歴史総合」)などは、高校1年生のレディネスを踏まえています。 ◆また2冊とも…
◆山川の「歴史総合」は、他の教科書に比べて戦後史(第二次世界大戦後の歴史)を重視したようです。全体の1/3を戦後史に割いています。戦後史偏重と言ってもいいかも知れません。また、東書の「詳解歴史総合」の戦後史の割合も約3割です。 ◆戦後史の重要…
◆現在まで続く万国博覧会の開催(第1回はロンドンで、1851年)は、近現代を象徴する国家的イベントです。帝国主義とも結びつきました。次の2冊が詳しく取り上げています。 ①「詳述歴史総合」(実教出版) ②「詳解歴史総合」(東京書籍) ◆①も②も明治日本の…
◆ロシア軍のウクライナ侵略の開始(2月24日)から、まもなく3カ月になります。5月9日の「戦勝記念日」における軍事パレードもむなしく、ロシア軍はウクライナ東部で前進を阻まれているようです。ロシア軍は「侵略開始時の3分の1の兵力を失った」(イギ…
◆次の3冊は、なぜかナイティンゲールを取り上げていませんでした。 ・山川の「歴史総合」 ・山川の「現代の歴史総合」 ・東書の「詳解歴史総合」 ◆「歴史総合」を学ぶ高校1年生は、みなナイティンゲール(ナイチンゲール)という名を知っているでしょう。…
▼注目されていたプーチン演説ですが、従来と同じく、ウクライナ侵攻が「唯一の正しい決断だった」と強弁していました。「キーウ占領」も「ドンバス地方の完全制圧」もできない現状を何とか糊塗することに終始したように感じられます。 ▼プーチンは、現在のウ…
◆今年度から実施されている、高校の新科目「歴史総合」には、各方面から期待が集まっています。ただ、高校の現場からというよりは、大学の歴史研究者からの期待のほうが大きいようです。 ◆次の5冊の教科書を比較しながら、何回かにわたって「歴史総合」のあ…
●ロシア軍のウクライナ侵攻から50日が経ちました。ロシア軍の攻撃はすさまじいものです。多数の都市、町、村を破壊し、多数のウクライナ市民を虐殺しています。 ●ウクライナ東部の激しい戦闘は、今後どうなるでしょうか? アメリカやヨーロッパ諸国が供与し…
★ロシアの一方的なウクライナ侵略が始まってから、1カ月半が経ちました。残忍な独裁者プーチンに指導されたロシア軍は、ウクライナ各地で都市や町・村を破壊し、一般市民を虐殺するという戦争犯罪を繰り返しています。またロシア政府と国営放送は、平気でウ…