世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

2019-01-01から1年間の記事一覧

EU離脱でUKは分解?

【総選挙の結果を見ると】 ◆2019年12月のイギリス総選挙で、EU(ヨーロッパ連合)離脱を唱える保守党が圧勝しました。国民投票(2016年6月)以来、3年半にわたって迷走してきたブレグジットが、2020年には実現する可能性が高くなりました。 ◆ただ、この…

★「功利主義を考える」(朝日新聞)が伝えなかったこと

◆朝日新聞が、「明日へのレッスン」で功利主義を取り上げていました(2019年12月11日付)。疑問が、大きく二つあります。 ◆一つ目は、功利主義について200字以内で説明させる入試問題(東京学芸大、2017)をなぜ取り上げたのか、ということです。 次のような…

★宗教・歴史・政治(ローマ教皇来日、そして「法王」が消えた)

【多くの困難の中のフランシスコ教皇】 ◆2019年11月、ローマ教皇フランシスコが来日しました。ハードな日程にもかかわらず、長崎、広島、東京で、心のこもったスピーチをしました。長崎、広島の人々にとっても、40数万の日本のカトリック信者にとっても、忘…

★近現代のメキシコ【探究的な授業へ⑤】

■「ヨーロッパ中心史観」あるいは「欧米中心史観」からの脱却が叫ばれて久しく、高校の世界史でもいろいろな改善は積み重ねられてきました。 ■ただ、ラテンアメリカとカリブ海地域は、現行の「世界史B」でも軽い扱いが続いてきました。ハイチ独立が注目を集…

◆フランク王国の発展【探究的な授業へ④】

「フランク王国の発展」の授業で、いくつかの工夫をしてみました。少しでも「考える授業」にするためです。 通常の授業では行わないような解説や質問をいくつかしてあります。★印をつけてあります。※印の部分では、なぜそのような解説や質問をしたのか、述べ…

★明らかにされる「古代末期」:『ヨーロッパとゲルマン部族国家』

◆マガリ・クメール、ブリューノ・デュメジル著『ヨーロッパとゲルマン部族国家』が出版されました[2019年5月、文庫クセジュ]。原著第二版(2016年)の翻訳ということですが、きわめて早い紹介で、とてもありがたいです。 ◆今まで、いわゆる「ゲルマン人の…

【 ロゼッタ・ストーンから考えるヘレニズム 】<探究的な授業へ③>

世界史Bの教科書では、山川・東書・実教・帝国とも、ロゼッタ・ストーンを古代エジプト史(古王国~新王国)のところで取り上げています。「神聖文字とその解読」に焦点を当てているからです。 しかし、そのため、大きな問題が生じます。 予備校の授業で、…

★困難な令和の時代に天皇制は?:NHKスペシャル「日本人と天皇」

◆平成最後の日(2019年4月30日)に、内容の濃い番組が放送されました。NHKスペシャル「日本人と天皇」。さまざまの立場からの反応が予想される中、公平性を損なうことなく、天皇制の課題(=私たちの課題)を浮き彫りにしていたと思います。 ◆番組は、歴…

【ラテン語・ギリシア語とヨーロッパ】<探究的な授業へ②>

<はじめに> ■高校の世界史の授業で言語を取り上げることは簡単ではありません。ただ、言語文化(圏)というとらえ方をすると、理解しやすくなる場合があります。ここでは、ラテン語文化(圏)とギリシア語文化(圏)を取り上げます。探究的な授業への手が…

◇書評 若松英輔『考える教室 大人のための哲学入門』

◆コンパクトですが、中身の濃い哲学入門書だと思います。なかなか、このような入門書を書けるものではありません。若松さんの思想の深さがよく表れています。 ◆「<問いを立て、対話しながら、考えを深めていくこと>、その<たましいの旅>に立ち現れてくる…

◆元号・改元<日本文化の複合性から考える>(2019年)

<はじめに> ★2019年4月1日、政府から新元号「令和」の発表があり、さまざまの感想が飛び交っています(施行は5月1日)。 ★最初は、元号に関して基本的な事項をまとめておこうと思ったのですが、自分の考えも述べることにしました。なかなかシビア…

★世界史の学び方<高校生のみなさんへ>[改訂版]

◆世界史は内容が豊富ですから、重要語句や人名・年代の丸暗記だけでは、いきづまってしまいます。 ◆では、どう学べばいいでしょうか? ポイントを8つあげてみます。 1 予習中心にしましょう。 社会科の勉強は復習中心と思ってきた人が多いかも知れません。…

【中世末期から考える「大航海」 】<探究的な授業へ①>

◆2022年度からの新課程では、「世界史探究」という科目が登場します。教科書の記述も学び方も、現行の「世界史B」とは違うものになるのかどうか、注目しています。 ◆また「歴史総合」も、単なる「世界史+日本史の近現代史」ではなく、探究的な科目として実…

世界史 こんな「考える授業」をしてみました 14【ギリシア神話・アルファベット・フェニキア】

◆教科書や資料集には、古代地中海世界における、ギリシア人の植民活動とフェニキア人の交易活動の範囲を表す地図が載っています。 この地図は、多くの授業では、ギリシア人の植民活動で使われると思います。さらに、フェニキア人の植民市カルタゴを確認する…

▼書評 片山杜秀『歴史という教養』

近代政治思想史研究者の著書ということで、期待を持って読みました。しかし、読後は、腑に落ちないものが残りました。さまざまな主義・史観への饒舌な批判にもかかわらず、提唱している「新しい温故知新主義」が危うさを免れていないからだと思います。 次の…

世界史 こんな「考える授業」をしてみました 13【イスラームの成立】

★7世紀初頭、イスラームがアラビア半島で成立しました。ユダヤ教が成立してから1,100年、キリスト教が成立してから600年が経っています。 ★なぜ、ムハンマドは、新たな一神教を創始したのでしょうか? ★いろいろ考えてきましたが、この問いに答えることは、…

ページビューが40万を越えました

<世界史の扉をあけると>のページビューが、40万を越えました。 2012年8月半ばに最初の記事を書きましたので、スタートして6年半が経ちました。 このようにたくさんの方々にお読みいただけるとは、思っていませんでした。 心より感謝申し上げます。 歴史…

<世界史の扉をあけると2>になりました

「はてなダイアリー」の<世界史の扉をあけると>をお読みいただき、ありがとうございます。 「はてなダイアリー」は、全面的に「はてなブログ」に移行することになったそうです。 移行作業のため、3月から6月までは、今までの「はてなダイアリー」の記事…