世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★世界史の学び方<高校生のみなさんへ>[改訂版]

 

◆世界史は内容が豊富ですから、重要語句や人名・年代の丸暗記だけでは、いきづまってしまいます。

◆では、どう学べばいいでしょうか? ポイントを8つあげてみます。

 

1 予習中心にしましょう。

 

 社会科の勉強は復習中心と思ってきた人が多いかも知れません。でも、何事も準備が大切です。予習してノートにまとめ(市販のサブノートでもかまいません)、授業で確認しながら、足りない事項を書き込んでいくというやり方が、一番いいと思います。

 

2 「過去と現在のつながり」を知る楽しみを持ちましょう。

 

 たとえば「オリンピックの起源は古代ギリシアにある」という事実を知るのは、楽しいことです。「こういうことがあって、今があるんだ!」という発見を、勉強の原動力にしてください。

 

3 ヴィジュアル資料でイメージを持ちましょう。

 

 プリントや問題集の空欄補充だけで理解しようとしていませんか? 歴史の勉強では、イメージを持つことも大切です。教科書や資料集の写真をちらっと見て終わっていませんか? よく見て、短い解説を読むようにしましょう。スマートフォンでもすぐ画像が見られますし、テレビ番組も役立ちます。

 

4 一定のストーリーの中で、時期や重要語句・人名を覚えましょう。

 

 「いつ、どこで、だれが、何を」を意識しましょう。ストーリーは、教科書をよく読んだり、資料集の年表で流れを確認することで、つかめるようになります。大きくストーリーをつかめば、「どのように?」や「なぜ?」という問いにつながっていくと思います。ちなみに、 history という語には、story が含まれています。

 

5 「何世紀?」「何世紀のいつごろ?」に重点をおきましょう。

 

 「1492年」などの年代暗記に力を入れなくとも大丈夫です。年代暗記は最小限にして、大きく「〇世紀」あるいは「〇世紀の初め(前半、半ば、後半、末)」と捉えるようにしましょう。

 

6 「どこで?」を大切にし、地図で確認しましょう。

 

 なぜ、「どこで?」が大切なのでしょう? 場所の確認は、「歴史の舞台」の確認だからです。点(都市や戦場)だけでなく、面(地方や国、川の流域や海域)も重要です。なお、地名をマークして安心しないようにしましょう。他の地名との位置関係が大切です。たとえば、ドイツの東隣の国を思い浮かべられますか?

 

7 異なる民族や地域・国同士の「関係」に注目しましょう。

 

 複数の民族・地域・国の「関係」を理解することが、世界史の醍醐味です。戦争などの「対立の関係」だけでなく、文化やモノの伝播という「つながり」にも注目しましょう。たとえば、仏像制作にはどのような文化の影響があったでしょう? 砂糖の生産と消費は歴史にどのような影響を与えたでしょう?

 

8 文化(宗教・言語・文字・芸術・思想・科学など)を、時代の動きの中で理解しましょう。

 

 「文化史は丸暗記」などという「非文化的」勉強になっていませんでしたか? 教科書では、各単元の最後に文化史がおかれています。しかし、社会的な出来事と別個に文化があったわけではありません。たとえば、杜甫安史の乱のさなかに「春望」を書きました。ボッカチオはペスト大流行の直後に『デカメロン』を書きました。文化を時代の動き全体の中で理解できるようになると、世界史はいっそうおもしろくなるでしょう。

 

◆受験の力は、単なる暗記力ではありません。2や7・8のような勉強法は受験にも役立ちますし、大学に行ってからの勉強の土台にもなるでしょう。