世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

★「世界史探究」教科書の検討18[「琉球処分」は注で述べればいい?]

★今回はいわゆる「琉球処分」(明治政府による沖縄県設置)について考えてみます。 ▼山川出版社の2冊の「世界史探究」教科書(『詳説世界史』と『新世界史』)は、いずれも「琉球処分」については本文でごく簡単に触れ、注で補足しています。多分「世界史の…

★「世界史探究」教科書の検討17[ハワイ王国最後の王リリウオカラニ]

☆アメリカ合衆国によるハワイ併合(1898)は、「列強によるオセアニア支配」の最終段階に当たる、重要な出来事でした。リリウオカラニ女王は、ハワイ王国最後の王となってしまいました(在位1891~93)。各社の教科書ではどのように取り上げているでしょうか…

★「世界史探究」教科書の検討16[後期印象派?]

◆美術史家の高階秀爾さんも10年ぐらい前に述べておられましたが、美術史ではゴッホ、ゴーギャン、セザンヌを、後期印象派ではなくポスト印象派と呼ぶようになっています。この3人の画家を「印象派の影響を受けているけれども、それぞれ独自の画境に進んでい…

☆「探究」教科書の表紙デザイン(シンプルな山川『詳説』、素敵な東書『日本史探究』)

今回は少し視点を変えて、「世界史探究」・「日本史探究」教科書の表紙のデザインについて書いてみます。もちろん、内容より表紙のデザインを重視するわけではありません。 ◆山川出版社の『詳説世界史』は、旧課程版よりもやや鮮やかなスカイブルーになりま…

★「世界史探究」教科書の検討15[フランス革命の複合性と功罪]

◆フランス革命(1789~99)の捉え方は、大きく変わってきました。半世紀前は、自由・平等を掲げた、典型的なブルジョワ革命(市民革命)とされていました。その後(30年ぐらい前からでしょうか)革命の心性や政治文化に焦点が当てられ、やがて国民国家の創生…

◇『文藝春秋』の特集「代表的日本人100人」に思う

◆『文藝春秋』2023年8月号は、「代表的日本人100人」という特集を組んでいます。私としては珍しく、買ってみました。 ◆識者24人が「代表的日本人」を5人ずつ選んでいます(ある程度恣意的な選び方になるのはやむを得ないのでしょう)。編集部は、識者24人…

★「世界史探究」教科書の検討14[グージュ「女性の権利宣言」](ジェンダーの視点に欠ける山川)

◇ジェンダーをどう取り上げるかは、歴史学の中心的課題の一つとなっています。「ジェンダー史学」という語も使われるようになりました。 ◇今回の「フランス革命と女性」というテーマは、日本では20世紀後半から大きな課題となってきました。近代における家族…

★「世界史探究」教科書の検討13[アメリカ独立革命の見方(山川・詳説など)]

◆独立戦争の開始(1775)から合衆国憲法の制定(1787)あるいは憲法修正(1791)までの一連の出来事を「アメリカ独立革命」と呼ぶことは、かなり一般化しています。この用語を最も積極的に使用しているのは、実教の教科書です。 「この一連のアメリカの独立…