世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

☆「探究」教科書の表紙デザイン(シンプルな山川『詳説』、素敵な東書『日本史探究』)

 

 今回は少し視点を変えて、「世界史探究」・「日本史探究」教科書の表紙のデザインについて書いてみます。もちろん、内容より表紙のデザインを重視するわけではありません。

 

山川出版社の『詳説世界史』は、旧課程版よりもやや鮮やかなスカイブルーになりました。書名の部分は濃紺の地に白と青の文字です。『詳説日本史』は朱色のような赤で、書名の部分は濃紺の地に白と赤の文字です。どちらもすっきりしたデザインで、美しさもあると思います。

 

◆なかなか凝っているのは、東京書籍の『日本史探究』です。奥付のページによれば、葛飾北斎の「富岳三十六景」から相州梅沢左、「佐竹本三十六歌仙絵」から小野小町野々村仁清の「色絵月梅図茶壷」、そして「那智山曼荼羅」が使われているとのことです。これらが絶妙に組み合わされていて、素敵な表紙になっています。書名の部分は黒地に白。銀色と金色の帯もうまく使われています。また、ページを開くと、狩野元信の豪華な「四季花鳥図屏風(右隻)」が現れます。いつも座右に置いておきたくなるような教科書です(ページ数を抑えながら内容も充実させています)。高校生にとっても、日本史の勉強に意欲がわくような教科書デザインでしょう。

 

 

◆理解しがたいのは、山川出版社の『新世界史』の表紙です。ローマ帝国リビアに建てた凱旋門の大きな写真を使っています。凱旋門は言うまでもなく軍事的勝利を記念する建造物ですから、それを歴史教科書の表紙に使ったのは時代錯誤と言うべきでしょう。また、ロシアとウクライナの悲惨な戦闘が続いている時に、なぜ凱旋門の写真を使ったのでしょうか? 無神経だと思いますが、もし意識的に使ったのであれば問題でしょう。未来を担っていく高校生たちにも、戦勝記念の建造物はふさわしくありません。

 

山川出版社の教科書の表紙は、ホームページでご覧ください。