世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

▲千年前の日本・世界の食生活

 

★明けましておめでとうございます。

 

◆今年(2024年)のNHK大河ドラマにちなんで、紫式部や『源氏物語』に関する本の出版が、去年の後半から盛んになりました。

 

◆本ブログも、今年は、紫式部が『源氏物語』を書いた千年前(11世紀初め、日本は平安時代中期)についてのクイズでスタートします。

 

◆以下の各文章の正誤(か✖)を判断してください。(Q3・Q5・Q6では、王朝名や国名も確認できるようにしてあります。王朝名・国名に誤りはありません。)簡単なクイズですが、解説は多少詳しくしました。

 

<Q1>

 平安時代の人々は、一日2食だった。[〇それとも×?]

 

<Q2>

 平安時代の貴族社会では、午後集まってお茶を楽しむ習慣があった。

 [〇それとも×?]

 

<Q3>

 千年前の中国(北宋)では、江南を中心にトウモロコシの栽培が盛んになり、食用として普及した。[〇それとも×?]

 

<Q4>

 千年前のヨーロッパでは三圃農法が広まりつつあり、食用のための豚もたくさん飼育されていた。[〇それとも×?]

 

<Q5>

 千年前のイングランド(デーン朝、ノルマン・コンクエストの半世紀前)では、人びとは主食のパンを補うためにジャガイモを食べていた。

  [〇それとも×?]

 

<Q6>

 千年前のフランス(カペー朝)の貴族たちは、コーヒーを好んで飲んだ。

 [〇それとも×?]

 

【答えと解説】

<Q1>

  です。

  朝夕の2食だったそうです。

  ただ、朝といっても、朝食は11時頃だったということです。

  【田中貴子『いちにち、古典』(岩波新書、2023年1月)で知りました。3食になるのは、中世後期から近世にかけてのことだそうです。】

 

<Q2>

  ✖です。

  嗜好品としての茶が中国から日本に伝わったのは、鎌倉時代初期です。臨済宗を開いた栄西南宋から茶の木を持ち帰ったと伝えられています。

  ただ、薬用としての茶は、平安時代初期に最澄が唐からもたらし、平安貴族にも知られていました。

  紫式部清少納言は、普段はお茶を飲んではいなかったのですね。

 

<Q3><Q5>

  どちらも✖です。

  トウモロコシもジャガイモもアメリカ大陸原産で、15世紀末にコロンブスやスペイン人が行くまで、他の世界には知られていませんでした。トウモロコシが世界各地に広まったのは16世紀でした。

  ジャガイモがヨーロッパで食用になるのは、少し遅れて17世紀でした。寒冷化や三十年戦争によりジャガイモが食用として広まったと言われています。日本にも、17世紀(江戸時代初期)に伝わりました。

 

<Q4>

  です。

  11世紀初めの中世ヨーロッパは、農業生産も商業活動も発展期に入っていました。豚肉は人びとの重要なたんぱく源で、塩漬けにして保存していました。(ムスリムユダヤ教徒とはまったく違います。)

 

<Q6>

  ✖です。

  コーヒー豆はエチオピア原産で、15世紀頃からアラビア半島イスラーム世界に飲み物として広まりました(ちなみにモカはもともとアラビア半島南西部の地名です)。最初は、薬用やスーフィーという神秘主義者たちの修行用として飲まれました。やがて一般に飲まれるようになり、世界で最初のコーヒー店が16世紀半ばのイスタンブールオスマン帝国の都)にできました。その後地中海からイタリアに伝わり、ヨーロッパ各地に広まりました。

  ※コーヒーは、アメリカ大陸原産と勘違いしやすいので、要注意です。

 

◆以上、高校の授業でも使えるようなクイズでしたが、歴史への関心が少しは深まるのではないかと思います。このような簡単な問題からも、食生活の歴史の奥深さがわかります。

 

*【追記】(2024.1.2)

 きのう午後4時10分頃、能登半島でM7.6、震度7の大地震が起きました。新年を祝っていた人たちを襲った大惨事。余震も続いています。石川県・富山県福井県新潟県などの方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 

*【追記】(2024.1.3)

 きのう午後4時47分頃、羽田空港の滑走路で日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突しました。連日の惨事に呆然とするばかりです。

 大惨事で始まった令和6年。

 令和という元号に決まった時、当時の安倍首相は「美しい調和という意味だ」と言っていたのですが……。(裏金づくりも「美しい調和」の一つだったのですね。)

 

*【追記】(2024.1.22)

 大河ドラマ「光の君へ」を3回まで見ましたが、フィクションの部分が多過ぎます。多くの人が、紫式部藤原道長について、また2人の関係について、誤解してしまうでしょう。