世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★ロシアの人々にとってプーチンより大切なもの

 

◆ロシア軍のウクライナ侵略の開始(2月24日)から、まもなく3カ月になります。5月9日の「戦勝記念日」における軍事パレードもむなしく、ロシア軍はウクライナ東部で前進を阻まれているようです。ロシア軍は「侵略開始時の3分の1の兵力を失った」(イギリス国防省)という分析もあります。

 

ウクライナ軍には米欧の武器が本格的に届き始めていますので(アメリカ議会では「武器貸与法」も成立しました)、これから6月にかけてウクライナ軍が奪回する地域が増えていくかも知れません。そうなれば、ロシア兵の士気の低下もさらに進行すると思われます。

 

プーチン政権がいくらウソをつき続けても、それを見破る力がロシアの人々にないとは思えません。「何のために若者たちが戦死しているのか?」という疑問が、ロシア人の中に広がっているのではないかと思います。「なぜわれわれが、兄弟国ウクライナの街を破壊し、罪のないウクライナ市民を殺しているのか?」という疑問も、兵士の中に少しずつ広がっているのではないでしょうか。「緑のリボン」運動に見られるように、平和を希求する人々は少なからずいます。

 

◆ロシア人は愚かではありません。どのような専制体制下でも、「ロシアの大地に根ざしながら、諸文化に開かれた魂」は続いてきたと思います。文学、音楽、バレエなどのロシアのすばらしい伝統を考えれば、プーチンの過ちによってロシアという国そのものが弱体化しつつあることを、多くのロシア人が認識する日がやって来ると思います。「プーチンを守るのか、ロシアを守るのか」という選択の前に立たされる時が来れば、当然ロシアの人々は「ロシアを守れ!」という思いで結束すると思います。プーチン政権よりも大切なのは、ロシアそのものですから。