世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★「歴史総合」教科書の検討4【山川は戦後史偏重?】

 

◆山川の「歴史総合」は、他の教科書に比べて戦後史(第二次世界大戦後の歴史)を重視したようです。全体の1/3を戦後史に割いています。戦後史偏重と言ってもいいかも知れません。また、東書の「詳解歴史総合」の戦後史の割合も約3割です。

 

◆戦後史の重要性はわかりますが、「歴史総合」という科目で扱うのは18世紀後半からの近現代史です。戦後史に割くページ数は全体の3割未満でいいのではないでしょうか。実教の「詳述歴史総合」の戦後史の割合は1/4ほど、山川の「現代の歴史総合」も同じく1/4ほどです。

 

◆<「歴史総合」の教科書を読んでみると1>でも述べましたが、内容は盛りだくさんです。しかも、どの教科書も、次のような呼びかけにあふれています。

 

  ・読み取ってみよう。

  ・調べてみよう。

  ・問うてみよう。

  ・考えてみよう。

  ・話し合ってみよう。

 

◆「歴史総合」は2単位に設定されていて、各高校での授業時数には限りがあります。「考える歴史」という目標に沿ってていねいに授業すれば、戦後史までいかずに終わることになるでしょう。しかし、共通テストの出題科目ですので、担当の教員は「戦後史まで終わらせなければ」と考えると思います。戦後史にかなりのページ数を割いた教科書を使えば、上にあげたような呼びかけは大幅に端折らざるを得ないでしょう。

 

◆一部のエリート校は別でしょうが、「歴史総合」の教科書の要求度が高すぎるのです。「考える歴史などとても無理だ」という徒労感が高校現場に漂うようになるのではないかと心配しています。