世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★「歴史総合」教科書の検討11【慰安婦①(山川では)】

 

慰安婦問題は、戦時下における、女性の人権の問題です。したがって、現代史では避けることができないと思います。

 

山川出版社の「歴史総合」(歴総707)は、日中戦争から太平洋戦争にかけての記述にあたって、南京事件や「強権的な動員・徴用」、皇民化政策などを取り上げています。しかし、なぜか慰安婦には触れていません。政府や文部科学省との対立を恐れて自主規制したとしか考えられません。 

 

◆このような教科書では、歴史を多角的に考えることはできないでしょう。「歴史教科書の山川」は、もはや古い看板になってしまったかのようです。前にも述べましたが、オランプ・ド・グージュや平塚らいてうの記述もない教科書です。教科書の最後のほうでLGBTを取り上げても、あまり説得力はありません。

 

■一方、山川の「現代の歴史総合」(歴総708)には、次のような文章があります。

 

 『日本軍は戦地に兵士の「慰安施設」を設け、日本本土や朝鮮・台湾・中国・東南アジアの占領地から女性を集めて働かせた。』

 

■東南アジアも含めており、勇気ある記述だと思います。ただ、「慰安婦」という語は避けたようです。なぜ避ける必要があったのかは、わかりませんけれど。