世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★「歴史総合」教科書の検討16<補足>【第一学習社の教科書に誤りが…】

 

第一学習社の「新歴史総合」を、カルチャーセンターの講座のテキストにしようと考えてきました。グージュ以降のフェミニズムの歴史に触れていない教科書や慰安婦を取り上げていない教科書は、テキストの候補から外しました。東京書籍の「新選歴史総合」も考えたのですが、「知識ゼロからの学び直し」という方もいますので、わかりやすさを優先しました。(第一学習社の「新歴史総合」の長所・短所については、「検討14」をご覧ください。)

 

◆ところが、「新歴史総合」に誤りを発見してしまいました。106ページの「女性参政権承認への投票を求める運動家たち」という写真に「1910年ころ、アメリカ」というカッコ書きがありました。これは誤りです。同じ写真を東書の「新選歴史総合」も載せていますが、正しくは、「新選歴史総合」108ページに記載されているように、「1910年、イギリス」です。

 

◆東書の「新選歴史総合」の写真には、女性たちが掲げている横断幕全体が写っていますので(第一学習社や東書「詳解歴史総合」の写真は左端が切れています)、エメリン・パンクハーストらが結成した「女性社会政治連合(WSPU)」のデモであることがわかります。イギリスの、いわゆるサフラジェットたちのデモです。

 

◆なお「新選歴史総合」は、別のページでエメリン・パンクハーストを取り上げていました。毀誉褒貶がありますので、エメリン・パンクハースト個人を「歴史総合」で取り上げるのは行き過ぎではないかと思っています。(同じ東書の「詳解歴史総合」は、サフラジェットを風刺した絵を載せていましたが、こちらはいい史料だったと思います。)

 

◆「検討9」で述べましたが、山川の「現代の歴史総合」にも写真の説明の誤りがありました。「歴史総合」は、高校に入学した生徒たちが最初に手にする歴史教科書ですので、「不注意でした」では済まないと思います。文部科学省の検定担当の方もしっかりしてほしいものです。

 

◆誤りのある教科書(第一学習社「新歴史総合」)をカルチャーセンターの講座のテキストに使うべきかどうか、迷っているところです。巻末の年表に、地下鉄サリン事件福島第一原発事故の記載がないということも考え合わせると、避けたほうがいいかも知れません。その場合は、東書の「新選歴史総合」にすると思います。