世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

[学術会議問題メモ]少ないよネ10億円 政党助成金は? アベノマスクは?

 

日本学術会議の会員任命拒否問題はどうなっていくのでしょう? 

 

菅首相(まだ所信表明演説もしていないのですが、先に外国訪問をするそうです)は、「年間10億円以上の予算を税金から計上しているのだから、推薦通りの任命などあり得ない」と言っています。ここには、大きく3つの問題があります。

 

 1 推薦通りの任命は、「独立して職務を行」い(日本学術会議法第三条)、「政府に勧告できる」(同第五条)機関であることを、保障するものです。首相の見解はその独立性を認めないという言明であり、第三条に違反しています。

 

 2 税金はもともと国民のお金であり、時の政権の財産ではありません。税金を学術の振興に使うのは当たり前のことです。

 

 3 10億円という額が多いのか少ないのかも議論されないまま、「そんなにお金をかけているのか」という雰囲気をつくり出してしまっています。

 

◆3についてですが、10億円という額は、庶民からすれば巨額です。しかし、とんでもない額なのでしょうか? 比較してみます。

 

 ① イギリスのアカデミーである学士院の年間予算は45億円余りです(2014年)。そのうち約37億円は国からの支出です。

 

 ② 新しくできた国立競技場の維持費は、来年度、24億円と見込まれています。

 

 ③ 税金からの政党助成金の総額は、今年度317億円でした。自民党が受け取ったのは、その5割以上の173億円でした。(「聖域なき行政改革」と騒いでいるのですが、政党助成金は行革の対象ではないのでしょうか?)

 

 ④ 例の「アベノマスク」にかかった費用の総額は、507億円でした。なんというムダ遣いでしょう。

 

◆「10億円? 少ないんだね、もっと出したっていいんじゃないの」という意見がないのは、不思議です。戦後まもなくから日本学術会議のような組織があったからこそ、科学分野でノーベル賞受賞者を輩出してきたとも言えるでしょう。

 

◆メディアは、「学問の自由」だけにこだわらず、国民が客観的に判断できる材料を、もっと積極的に提供してほしいと思います。

 

菅義偉という人には、明るさが感じられません。私たち市民には想像できないほどの、したたかなマキャヴェリストなのでしょう。学術会議問題については、習近平が徹底して自由主義者を押さえつけているのと同じく、権力の怖さを見せつけながら、このまま押し切るつもりだと思います。「批判的なメディアには言わせておけばいい」、「学者たちなんて怖気づいてまもなく黙るだろう、黙らなければ切るだけだ」、「国民は、Go Toや携帯料金など、いろんなアメを与えておけば、総選挙までには忘れるさ」と考えていると思います。

 

◆「あの時が始まりだったんだ」と、後で人びとが思うようにならないことを祈るばかりです。