世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

2020-01-01から1年間の記事一覧

<新型コロナ・データ(4月中旬)>愕然 都道府県別病床数[付 ICU病床数・医師数国際比較」

☆メディアにはいろいろなデータが溢れていますので、なかなか把握が困難です。また、まもなく忘れ去られていきますので、重要なデータを一応本ブログでも記録しておきます。日本が医療体制の充実を図ってこなかった歴史が現れているデータです。 ◆新型コロナ…

【資料】アヴィニョンへの眼差し(授業で多角的に考えるために⑥)

◆中世ラテン・キリスト教世界(ローマ・カトリック世界)の危機について、まず基本的な事実を確認したいと思います。 1303 フランス王フィリップ4世、教皇ボニファティウス8世を捕える (アナーニ事件) 1309 フィリップ4世、教皇庁を南フランス…

◇新型コロナ危機:人権と社会(欧米・日本)4/12[付 政府と「局面打開の意志」]

◆新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。感染者は、まもなく、世界で200万人に達するでしょう。死者は11万人に及んでいます。日本も、すでに危機的状態だと思います。 ◆4月7日、ようやく、安倍首相が緊急事態宣言を7都府県に発しました。この世界…

★複雑な十字軍[授業で多角的に考えるために⑤]

◆教科書に沿って十字軍を教えながらも、「全体をつかみ切れていない」という思いをずっと抱えてきました。 ◆それは今も変わりませんが、次のことは授業で伝えたいと考えています。 【十字軍を多角的に考えるための8項目】 ①宗教的情熱、領土拡張の野望、商…

★新型コロナ危機に対応できない朝日新聞にお別れ(3/23)[+真山仁、福岡伸一]

◆「言葉の力」を重視するという朝日新聞は、2020年3月20日付の文化・文芸面に「私権制限 どこまで許される」という記事を載せました。「民主主義は限界なのか」というシリーズの一つで、新型コロナウイルスの感染拡大に関わる記事です。政治社会学者・堀内…

【史料】14世紀半ば、フィレンツェを襲ったペスト

◆ボッカチオ(ボッカッチョ)の『デカメロン』は、ペスト(黒死病)大流行の直後に書かれました。その冒頭部分には、1348年にフィレンツェを襲ったペストについての記述があります。感染症の恐ろしさを伝える、重要な史料です。以下に、その一部を紹介します…

★気になるモンテスキュー(授業で多角的に考えるために④)

◆みすず書房から近刊のロザンヴァロン『良き統治』 の一節が目に留まりました。 「市民にとって民主主義の機能不全とは、自分の要望に耳を傾けてもらえないこと、諮問なしに政治的決定がなされること、大臣が統治責任を引き受けようとしないこと、指導者が嘘…

★世界史にも通じる、本郷和人『信長』の見方

◆サブタイトルが≪「歴史的人間」とは何か≫でしたので、興味深く手に取りました。期待通りの本でした。 ◆章立ては、次のようになっています。 序 なぜ、いま「信長」を考えるのか 第一章 信長と宗教 第二章 信長と土地 第三章 信長と軍事 第四章 信長と国家 …

★フランス第三共和政とライシテ[授業で多角的に考えるために③]

◆フランスでは、第三共和政(1870~1940)によって共和政が定着し、国民統合が進みました。しかし、一般に世界史の授業では、その内政面は軽く扱われることが多いと思います(ドレフュス事件は別ですが)。生徒たちも、19世紀のフランスの政体の変遷を理解す…

★クリミア戦争で看護活動を行った黒人女性[授業で多角的に考えるために②]

◆クリミア戦争(1853~56)で看護活動を行ったフロレンス・ナイティンゲール(1820~1910)はあまりにも有名です。 ◆日本ではあまり知られていませんが、ジャマイカ出身の黒人女性(正しくはクレオールの女性[父はイギリス人、母はジャマイカ人])メアリ・…

◆ノルマン・コンクェスト[授業で多角的に考えるために①]

◆まず、生徒たちと教科書の記述を読んでみます。代表的な教科書の記述は、次の通りです。 ・「1066年ノルマンディー公ウィリアムが王位を主張して攻め込み(ノルマン=コンクェスト)、ウィリアム1世として即位しノルマン朝をたてた。」(山川『詳説世界史…

★ブティジェッジ氏から考えるマルタの歴史

◆アメリカの大統領選挙の候補者選びが始まっています。民主党では、サンダース氏とともにブティジェッジ氏が注目されています。 ◆Buttigieg の発音と日本語表記について、「朝日新聞」にたいへん興味深い記事が載っていました。ブティジェッジ氏の父親は、地…

★オルガ・トカルチュク「ノーベル文学賞記念講演」について

◆オルガ・トカルチュクは、ポーランドの作家です。昨年、ノーベル文学賞を受賞しました(形としては2018年の賞)。2019年12月7日に行われた講演の全訳を読んでみました。 ◆現代世界の困難とその中で紡ぐ希望について述べた、すばらしい講演でした。 ◆トカル…

★脅かされる生存権 -新型コロナウィルスで揺らぐ中国・日本-

◆新型コロナウィルスによる肺炎の流行は、すでにパンデミックの様相を呈しています。「過度に恐れる必要はない」と言われてはいるものの、ウィルスはかなりの感染力を持っています.。まだ治療薬もワクチンもありません。感染が蔓延している武漢市の致死率は…

◆2020センター試験・世界史Bの出題について

★最後のセンター試験となりました。問題を作成する作業は大変だと思いますが、今回も、感じたことをいくつか述べたいと思います。(出題ミスについては、ここでは触れません。) 1 絵画や写真は、相変わらず飾りのようになっていました。絵画や写真を使うの…

★興味尽きない、500年前の世界

◆今年(2020年)は、ヴェルサイユ体制下で国際連盟が設立されてから100年、第二次世界大戦終結・「大日本帝国」崩壊から75年、ドイツ統一から30年というような年にあたっています。 ◆1992年前後、「コロンブスから500年」というテーマで、さまざまなことが述…