世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★インディオ、インディアンという語

 

 今の高校生の場合(エリート校は別でしょうが)、インディオやインディアンという語については、授業でていねいな説明が必要です。

 

◆次の文章は山川『詳説世界史』のものですが、このままだと不十分だと思われます。

 

 『コロンブスの船団は1492年にカリブ海の島に到着した。彼はその後、今日のアメリカ大陸にも上陸したが、そこを「インド」」と信じ、その住民をインディオ(インディアン)と呼んだ。』

 

 ●最初に到達したところであれば、「カリブ海の島」は正確ではありません。コロンブスが最初に到達したのは、バハマ諸島のサンサルバドル島(現ウォトリング島)ですので、大西洋の西端にあたります。その後、カリブ海域に向かいました。

 ●「インディオ」と「インディアン」が区別されていません。コロンブスたちが使ったのは、スペイン語の「インディオ」のほうです。

 

◆東書の『世界史探究』は、注で次のように述べていて、割合ていねいです。

 

 『コロンブスアメリカ大陸をインディアス(インドや中国のあたりを漠然とさす語)と誤解したことから、中南米の先住民は「インディオ」、北米の先住民は「インディアン」とよばれていたが、いずれも現在では差別用語として、使用をさける動きも出ている。』

 

 ●授業では、スペイン語ポルトガル語で「インディオ( Indio )」、英語で「インディアン( Indian )」と呼ばれてきたことを付け加えるべきでしょう。アルファベットで書いたほうが、生徒たちは理解しやすいと思います。

 

◆次回に取り上げる「西インド諸島」も同じなのですが、誤解から生じた用語が長く使われてきたのは、驚くべきことです。まさにヨーロッパ中心史観の用語だったからでしょう。