世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★考えさせられる、カントの言葉

 

●いま、世界も日本も、あまりに混沌としています。コロナ禍が続き(日本は危機的な状況です)、気候危機も顕在化してきていて、先が見えません。

 

●カントの言葉を、理性批判というカント哲学の文脈から切り離し、現在に引きつけて一般化しても、理解を誤るとは思います。ただ、ふと読み返したカントの言葉に、とても考えさせられています。

 

◆カントが240年前に述べた言葉◆

 

★「人間の理性、それはある種の認識において特異な運命をかかえている。その運命とは、理性が退けることもできず、それでいて答えることもできないような問題にわずらわされるということである。退けられないわけはと言えば、そのような問題が、理性自身の本性によって突きつけられているからである。答えられないわけはと言えば、そのような問題が人間の理性能力をことごとく超えているからである。」

 

★「すべてはまたもや、ほころびて時代遅れになった独断論におちいり、そこからまた、人々がこの学問から払拭しようとしたはずの侮蔑におちいった。万策(人々がそう思っているような)がむなしく尽きた今、学問においては倦怠とはなはだしい無関心主義が蔓延している。これらは学問における混沌と闇の生みの親である。とはいえ、これらは同時に、努力を怠った結果、学問がかげりを帯びて、混乱し、役に立たなくなったとき、学問がやがて改造され、啓蒙されることを告げる発端であり、少なくともその序曲なのである。」

 

【どちらも、イマヌエル・カント純粋理性批判』第一版(1781年)の序文より。[石川文康訳、筑摩書房、2014]】