世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★ゼレンスキー大統領についての寺島実郎の発言【情勢など更新 2/28・3/1・3/2】

※2/27の最初の記事の後、【追記】だけでなく、本文・タイトルも数度更新しています。

 

◆ロシア軍のウクライナ侵攻から、現地ウクライナは4日目の朝を迎えつつあります。ウクライナ軍は、必死に首都キエフや第2の都市ハリコフを守っています。(今、日本時間では、2月27日午前10時40分過ぎです。)

 

◆世界各地で、プーチンを非難する集会・デモが行われています。ロシア国内でも、当局の弾圧の中、戦争反対のデモが連日行われているのは、せめてもの救いです。

 

◆識者によってさまざまな分析がなされていますが、「ウクライナ軍の反撃を受け、ロシア軍は撤退を余儀なくされるだろう」と予測する人は誰もいません。戦力の差は歴然としていますし、ロシアはまだ兵力を温存しているとのことです。プーチン核兵器の使用さえちらつかせて、ウクライナと欧米を(世界を)脅しています。

 

◆ただ、ウクライナ国民は一丸となって必死に戦っていますので、ロシア側にもかなりの損害が出ていると思われます。「ソヴィエト帝国」の幻影に囚われ理性を失ったプーチンの命令に従い、「兄弟国ウクライナ」で命を落としたり捕虜になっているロシア兵も多数いるのです。

 

◆かつての大きな戦争との違いは、SNSの存在です。政府機関同士はフェイクニュースも流すかも知れませんが、ウクライナの市民がSNSで世界に発信する映像は有効な武器になっています。

 

◆そのような中、今朝のTBS系「サンデー・モーニング」で、寺島実郎プーチンを批判したあと、ウクライナについて次のように語っていました。

 

 「ゼレンスキー大統領はコメディアンだった。ウクライナは、人気者を選ぶようなポピュリズムに陥っていた。」

 

◆いまロシアの侵略と必死に戦っているゼレンスキー大統領とウクライナ国民に対する言葉として、適切だったとは思えません。どうしてゼレンスキー大統領を揶揄するような発言をするのでしょうか? 「ウクライナポピュリズムに陥っていたから侵攻されたのだ」とでも言うのでしょうか? ウクライナの人々は、国を守るため、いま血を流しているのです。たくさんの人々が、家族を守るため故郷を離れ、やむなく避難民となっています。子どもたちは涙をためながら耐えています。亡くなった子どもたちもいます。そのような苦難を受けとめる姿勢が、寺島にはまったく感じられませんでした。

 

◆「識者」寺島は「コメディアンは政治的指導者として不適」という先入観にとらわれているようでした。デモクラシーの根幹に関わりますので、言っておかねばなりません。上から目線の、浅はかな見方です。恥ずべき偏見です。私たちは注意しなければならないでしょう。ポピュリズム批判の裏側に「大衆蔑視」が潜んでいる場合があるのです。

 

プーチンは、まるで悪魔にとりつかれたかのようです。今後も、あらゆる手段を使ってウクライナを崩壊させようとするでしょう。ゼレンスキー大統領の命を狙うでしょう。すでに、一般市民も標的にした、ミサイルなどによる無差別攻撃に踏み切ったかも知れません。

 

◆しかし、「力を過信した攻勢」が墓穴を掘った例は、歴史上たくさんあります(たとえば、ナポレオンのロシア遠征ナチス・ドイツソ連侵攻)。今回のウクライナ侵略は、「プーチンのロシア」の黄昏につながっていくかも知れません。

 

◆世界各地の反戦デモの中に、「私たちはウクライナとともにある」という言葉がありました。私も、同じ気持ちです。ウクライナの人々に、早く平穏な日々が戻りますように。

 

【追記 2022/2/28 13:00 】

★ロシアのウクライナ侵攻をめぐって、国連緊急特別総会が開かれるようです。実際の効力は限定的かも知れませんが、ロシアの侵略を非難する国連決議は絶対に必要です。

 

【追記 2022/3/1 21:47 】

★昨日の停戦交渉は不調に終わりました。当然でしょう。停戦交渉はプーチンのポーズに過ぎません。

★独裁者ルカシェンコのベラルーシがロシア側で参戦する可能性が高まっています。ウクライナにとっては、北部と西部の防衛がより難しくなるかも知れません。

★欧米諸国や日本の経済制裁永世中立国スイスも制裁に踏み切りました)は徐々に効いてくると思っていましたが、ロシアの通貨ルーブルは早くも下落しています。ただ、追い詰められたプーチンは、さらに狂暴になるかも知れません。

★ロシア軍の士気は低下しているという見方もありますが、いま、大規模なロシア軍がキエフの北25キロに迫っています(CNNのサイトもBBCのサイトも、ロシア軍車両の長大な車列を伝えています)。

★直接の軍事行動をとれない欧米諸国は、ウクライナへの武器援助を本格化させています。NATOに加盟していないスウェーデンフィンランドも援助を表明しました。

★ロシア軍と戦うため帰国するウクライナ人男性も多数います。情勢によっては、アメリカ独立戦争やスペイン内戦の時のように、ウクライナを支援する国際義勇軍ができるかも知れません。

 

【追記 2022/3/2 18:58 】

ウクライナ国民とゼレンスキー大統領を愚弄した寺島実郎は、ウクライナ情勢について、臆面もなく朝日新聞のインタビューに答えていました(3/2付紙面)。「知の再武装」などと言っていましたが、自分に何が欠けているのかよく考えてほしいと思います。