世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★クレムリンをウクライナが攻撃?[ 追記 2023/5/7 ]

 

◆ロシア大統領府は「3日未明、ウクライナ無人機がクレムリンを攻撃した」と発表しました。「大統領の暗殺を狙ったテロ行為だ」とも述べました。ウクライナ側は関与を否定しています。

 

◆まだ詳しい報道はありません。事件の真相はやがて明らかになると思いますが、3つの可能性が考えられます。

 ① ウクライナ軍が自分たちの力を誇示するため、攻撃した。

 ② ロシアが、ウクライナ攻撃をさらに強化する口実をつくるため、自作自演を行った。

 ③ ロシア国内の反体制グループが、プーチン政権を動揺させるため、攻撃した。

 

◆①の可能性は高くないと思います。まもなくウクライナの大規模な反転攻勢が始まると言われていますが、その前に、報復覚悟で、クレムリンを攻撃するメリットはないと思います。ロシアも、キーウの政権中枢(大統領府など)を狙った攻撃は、まだ行っていません。

 

◆③の可能性もあるかも知れませんが、ロシア国内の反体制派にクレムリンを攻撃するような力があるのか、疑問です。反体制派が、近隣の国々の反プーチン勢力とつながっていることも考えられますが。

 

◆私個人の考えですが(間違っているかも知れません)、②の可能性が高いのではないかと思います。モスクワの防空体制は整備されているはずです。クレムリン上空に無人機を飛ばせるのは、ロシア軍しかないのではないでしょうか? 無人機がドーム型の建物の間近に迫ってから撃ち落とされている(爆発している?)映像も不自然です。通常であれば、もっと早く撃墜しているはずですが、モスクワの防空体制は脆弱なのでしょうか?

 

◆ロシア大統領府は「ロシアは、必要な時と場所に報復措置をする権利を保有している」と、述べています(朝日新聞5月4日付朝刊)。噓に嘘を重ねて、権力を維持し、ウクライナ侵攻を正当化してきたプーチンですから、キーウの政権中枢を攻撃するために、あるいは戦術核兵器を使用するために、自ら事件を起こすことなど、何でもないと思います。

 

◆思い出されるのは、1931年の、満州事変の発端となった柳条湖事件です。日本軍(関東軍)は、満州全域を支配する口実をつくるため、自分たちで鉄道を爆破しておきながら「中国軍のしわざだ」と偽りの発表をしたのでした。

 

プーチンは、5月9日の対ナチス・ドイツ戦勝記念式典で強硬な演説をするでしょう。しかし実際は、ウクライナの大規模な反転攻勢に強い不安を抱いているのかも知れません。ロシアにとって戦況が不利になる前に、キーウの政権中枢攻撃など、何らかの手を打っておきたいのだと思います。

 

◆①~③のいずれであっても、ロシア軍の「報復」が予想されます。ゼレンスキー大統領の身の安全を祈らずにはいられません。

 

【追記】[5/7、14:17]

※5/4のNHKニュース7では、防衛研究所の兵頭慎治が③の可能性が高いことを示唆していました。もし③だとすると、ロシア軍内部にも反体制グループと連携する人たちがいて、防空網をかいくぐらせたのでしょうか? あり得ないことではありません。民間軍事会社ワグネルのバフムト撤退表明もありました。ロシア軍とワグネルの間にも、ロシア軍内部にも、暗闘があるのかも知れません。