世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

★女性参政権から100年後黒人女性副大統領が誕生した、「青鞜」から110年後森喜朗発言があった

◆今回は、資料を2つ載せて、歴史を考えたいと思います。

 

【★1】1920年アメリカ合衆国では、女性参政権が実現しました。その100年後の記念すべき年(2020年)に、インド・カリブ系女性のカマラ・ハリスが副大統領に選出されました。

 

<カマラ・ハリスの勝利演説より>

 

 米国の民主主義は保障されたものではなく、その強さは、そのために闘う我々の意志にかかっているということだ。守らねばならず、決して当たり前だと思ってはいけない。……

 私が今日ここにいるのは、…母のおかげだ。彼女が19歳でインドから米国に来た時は、この瞬間を想像できなかったと思う。それでも、こうした瞬間が可能である米国を、彼女は深く信じていた、私は、母のこと、そして、何世代もの女性たち、黒人女性たち、アジア人、白人、中南米系、米国先住民の女性たち、我が国の歴史を通じて、この瞬間に向かう道を開いた女性たちのことを考えている。……

 皆の平等と自由と正義のために大いに闘い、犠牲を払った女性たち。往々にして無視されながらも、自分たちこそ民主主義の屋台骨であることを幾度も証明してきた黒人女性たち。1世紀以上も前から、投票の権利を獲得し守るため取り組んできたすべての女性たち。……

 これから始まるのだ。本当の仕事、大変な仕事、やらねばならぬ仕事、よい仕事、欠かせない仕事が。命を救い疫病を抑え込み、働く人々のために経済を立て直し、司法制度や社会の組織的な人種差別を根絶し、気候危機と闘い、国をまとめ、国の魂を癒すために。……

 【和田浩明訳、毎日新聞2020年11月10日付】

 

◆ハリスのすばらしい演説をあらためて読んでみると、森喜朗(オリンピック・パラリンピック組織委員会会長)の発言がいかにくだらないものであったか、いかにみすぼらしいものであったか、よくわかります。

 

【★2】奇しくも、今年(2021年)は、「青鞜」創刊(1911年・明治44年)から110周年に当たっています。平塚らいてうの創刊の辞から110年経ってもなお、森喜朗発言があったのでした。

 

平塚らいてうの「青鞜」創刊の辞より>

 

 元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月である。……私どもは、隠されてしまった我が太陽を今や取戻さねばならぬ。……しからば私の希う真の自由解放とは何だろう、いうまでもなく潜める天才を、偉大なる潜在能力を十二分に発揮させることにほかならぬ。

 【『平塚らいてう評論集』(岩波文庫)】

 

※現在の日本の問題は、ジェンダー・バイアスだけではありません。腐敗した政界は、『「真正の人」など不要』という雰囲気に満ち満ちています。

※なお、与謝野晶子の歌集『みだれ髪』の出版は、120年前(1901年・明治34年)のことでした。