世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

▼いくつかの「遅れた日本」の指標(森喜朗発言から考えること) 【追記:蜷川実花のこと】

 

▼仏教国ミャンマーでは、軍のクーデタに抗議するデモにたくさんの女性も参加していて、勇気づけられています。しかし、日本では、森オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の発言で混乱しています。

 

森喜朗の場合、無自覚な女性蔑視が体に染みついているのでしょう。TVに映っているのは、志もモラルも忘れた、みすぼらしい権力者の姿でした。

 

▼こういう時に、いわゆる保守層が毅然と声をあげてくれれば、日本も変わると思うのですが、そうはいかないようです。森発言は「日本の良さ」とかけ離れているように思います。辞め方も、まったく潔さがありませんでした。「桜を見る会」の時も同じでしたが(日本の美しい桜が総理大臣によって汚されたのでした)、日本の保守層の質が低下していると思います。

 

▼森発言だけではありません。日本が世界から遅れていることを示す指標をいくつか挙げてみます。日本に住んでいると自覚しづらいのですが、日本という国の質が低下していることが分かります。未来を切り開く力が弱くなっているのでしょう。

 

新型コロナウイルスのワクチン接種は、すでに70の国・地域で始まっています。

 【 vdata,nikkei.com 】

 ●日本では来週から始まるようですが、接種は遅れているのです。そもそも、日本は自前でワクチンを開発できない国になってしまいました。

 

100病床当たり看護職員数【2017、OECD調査】

  日本       87.1人

  アメリカ    427.6人

  イギリス    308.3人

  フランス    175.3人

  ドイツ     161.6人

 ●以前の記事でも書きましたが、100病床当たり医師数も少ないのです。医療現場が逼迫するのは当然です。保健所数の削減も含めて、政治の責任です。

 

国会議員に占める女性の割合【2020、globalnote.jp 】

  191か国中、147位

 ●「 Gender Equality (ジェンダー平等)」の代表的な指標です。日本は、G20では最下位です。

 

発電量に占める再生可能エネルギーの割合【2017、資源エネルギー庁

  日本      8.1%

  ドイツ    30.5%

  イギリス   27.9%

  スペイン   25.5%

  イタリア   23.3%

 ●ガソリン車は「悪」とされ、EV(電気自動車)の普及が叫ばれています。ただ、火力と原子力で発電した電気を充電してEVで走っても、「善」とは言えないでしょう。EV用のリチウムイオン電池の製造過程でも、たくさんの二酸化炭素が排出されるそうですので、なかなか複雑です。再生可能エネルギーの割合を高めることが、最重要課題だと思います。

 

博士号取得者数【2016、globalnote.jp 】

   1 アメリ

   2 中国

   3 インド

   4 ドイツ

   5 イギリス

   6 ロシア

   7 ブラジル

   :

  10 日本

  11 韓国

 ●自然科学系、工学系、社会科学系の合計です。

 ●博士課程で学ぶ人たちが経済的に困ったり、博士号を取得した人が就職に困るような社会ではどうしようもありません。基礎科学の予算も少なく、やがて日本からはノーベル賞受賞者が出なくなるだろうと言われています。日本学術会議問題にも表れていましたが、学問を大切にしない国は滅びます。

 

▼男女間の賃金格差、食料自給率、人口減少など、もっとたくさんの指標があると思いますが、とりあえず5つで考えてみました。

 

【追記】(2021/02/13)

 今回の森発言騒動で気になっている女性がいます。写真家の蜷川実花です。彼女は組織委員会の理事ですので、発言の場にいたと思います。その後ツイッターで、「背景にある日本社会の問題」と述べたようです。当事者としての切迫感はなく、よくある「識者の感想」のようでした。深く鋭い感性を持っている方だと思っていましたので、残念です。森などが好む「ものごとを弁えた女性」になってしまったのか、森に個人的恩義があって批判を避けているのか、それとももっと深い考えがあるのか、わかりませんが……。