世界史の扉をあけると2

<世界史の扉をあけると>の続編です

【米大統領選メモ】最悪のシナリオか

 

★今回のアメリカ大統領選挙は、ほとんど内戦に近い様相を呈しています。実際の銃撃も続きました。選挙というしくみが、かろうじて内戦を防いでいるのだと思います。

 

★最悪のシナリオは2つあると思います。

 1 トランプが、いつものようなウソと誇張で勝利する。

 2 バイデンが辛勝するが、トランプが選挙の不正を訴えて混乱する。

 

世論調査ではトランプが追い上げており、前回同様「隠れトランプ」もいると言われています。共和党内の一部の反乱もありますので、「隠れバイデン」もいるのではないかと思ったりするのですが、希望的観測かも知れません。

 

アメリカ大統領選挙で不思議なことが2つあります。

 ⓵ 州ごとの選挙人総どり方式が続いて、総得票数で争うという方式に改善されないこと。

 ② 福音派と呼ばれる人びとが、神の愛と隣人愛を信じているというのに、トランプの禍々しさを支持していること。

 

★①は、各州の権限も尊重する伝統から来ていますが、合衆国(合州国)が州単位で分裂していく危険もはらんでいるような気がします。南北戦争(1861~65)の時は、南部11州が合衆国から分離しアメリカ連合国をつくりました。今度はモザイク状に分裂でしょうか? 実際には起こらないと思いますが、実態としてはそのような状態に近い部分があります。

 

★鈴木透『実験国家アメリカの履歴書 第2版』(慶応義塾大学出版会、2016)から、2つの文章を紹介してみます。

 

 「アメリカという国が前に進むためには、新しい時代状況に対する、ある種時代錯誤めいた反動が避けて通れないことを証明した時代こそ、1920年代だったといえよう。」

 

 「いま、われわれは大規模な内戦のさなかにあって、この国家ーあるいは自由な精神から生まれて平等という信条に捧げられたあらゆる国家ーが永続できるか否かの試練を受けています。」

 [リンカン「ゲティスバーグの演説」(1863.11.19)]